目次
疲労回復にストレッチがおすすめされる理由
「疲れた日は、体を動かさずに休んだほうがよいのでは?」と思う方も多いでしょう。もちろん、睡眠不足や体調不良があるときは、無理をせず休むことが大切です。ただし、長時間のデスクワークや立ち仕事で同じ姿勢が続いた場合は、軽いストレッチで筋肉をゆっくり伸ばすと、体を動かしやすくなると言われています。
筋肉の緊張をゆるめて体を動かしやすくする
同じ姿勢を続けていると、首や肩、腰まわりの筋肉がこわばり、「体が重い」「動き始めがつらい」と感じることがあります。
「強く伸ばしたほうが効きますか?」
いいえ。痛いところまで無理に伸ばす必要はありません。反動をつけず、筋肉が心地よく伸びている範囲で姿勢を保つ方法が基本と言われています。
血流を促して肩や腰の重だるさを軽減する
ストレッチで筋肉を動かすことは、長時間動かしていなかった部位の血流を促すきっかけになると言われています。ただし、肩こりや腰の重だるさには、姿勢や運動不足だけでなく、睡眠不足やストレスなどが関係している場合もあります。ストレッチだけですべて解消しようと考えず、疲れの原因を振り返ることも必要です。
深い呼吸によって心身のリラックスを促す
ストレッチ中は息を止めず、ゆっくり吐くことを意識しましょう。「ふーっ」と長く息を吐くと、力が入りすぎていることに気づきやすくなります。呼吸に合わせて動けば、慌ただしい気持ちを落ち着かせる時間にもなります。
寝る前に行うことで睡眠の準備につながる
寝る前は、汗をかくほど激しく動くのではなく、布団の上で無理なく行える内容がおすすめです。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、適度な運動習慣は睡眠の質の改善に役立つ一方、就寝前1時間以内の激しい運動は睡眠を妨げる可能性があると紹介されています。
ストレッチだけで解消できる疲労とできない疲労
筋肉のこわばりや同じ姿勢による重だるさには、軽いストレッチを取り入れやすいでしょう。一方、十分に休んでも強い倦怠感が続く、息苦しい、発熱がある、日常生活に支障が出ている場合は、ストレッチだけで様子を見ないことが大切です。疲労回復の基本は、睡眠・食事・休養を整えたうえで、適度に体を動かすことだと考えましょう。
引用元:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
https://www.health-net.or.jp/tairyoku_up/undo/stretch/t02_02_06.html
引用元:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
疲労回復におすすめの全身ストレッチ
「疲労回復ストレッチを始めたいけれど、何から行えばよいかわからない」という方は、疲れを感じる部位から無理なく始めましょう。すべてを一度に行わなくても問題ありません。首や肩がつらい日は上半身、足が重い日は下半身というように、体調に合わせて選ぶのが続けるコツです。
首・肩の疲れをほぐす肩甲骨ストレッチ
椅子に浅く座り、両手を肩に添えます。肘で大きな円を描くように、前から後ろへゆっくり回しましょう。肩甲骨が背中の中央へ寄る感覚を意識します。呼吸を止めず、前回しと後ろ回しをそれぞれ5回程度行ってください。
「大きく回すほどよいですか?」
痛みが出ない範囲で十分です。肩をすくめず、首に余計な力を入れないようにしましょう。
背中の張りを和らげる体側ストレッチ
両手を頭の上で組み、背筋を軽く伸ばします。そのまま上半身をゆっくり横へ倒しましょう。脇腹から背中にかけて心地よく伸びる位置で10~20秒ほど保ち、反対側も同様に行います。腰だけを反らさないことがポイントです。
腰まわりをゆるめる膝抱えストレッチ
あお向けになり、片膝または両膝を胸へ近づけます。両手で膝の裏を支え、腰からお尻にかけて伸びる位置で姿勢を保ちましょう。膝や股関節に痛みがある場合は、引き寄せる幅を小さくしてください。
お尻・股関節を伸ばす合蹠ストレッチ
床に座って左右の足裏を合わせ、両手で足先を持ちます。背中を丸めすぎないようにしながら、上半身を少し前へ傾けましょう。股関節が硬い方は、膝を床へ押しつけなくても構いません。
太もも・ふくらはぎをほぐす下半身ストレッチ
片足を前に伸ばして座り、つま先を天井へ向けます。股関節から上半身を前へ傾けると、太ももの裏側を伸ばせます。ふくらはぎを伸ばす場合は、壁に手をつき、片足を後ろへ引いて、かかとを床へ近づけましょう。
全身をまとめて伸ばす寝たままストレッチ
あお向けで両手を頭の上へ伸ばし、かかとは反対方向へ遠ざけます。背伸びをするように5秒ほど伸ばした後、一度力を抜きましょう。これを2~3回繰り返します。朝起きた直後は勢いをつけず、小さな動きから始めることが大切です。
引用元:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
https://www.health-net.or.jp/tairyoku_up/undo/stretch/t02_02_06.html
引用元:日本スポーツ協会「健康寿命評価尺度と生活機能改善プログラム」
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/tabid1444.html
目的・シーン別に行う疲労回復ストレッチ
疲労回復ストレッチは、長時間まとめて行うよりも、生活の中で無理なく続けることが大切です。「毎日10分やらなければ」と考えると負担になりやすいため、まずは1~3分から始めてみましょう。寝る前、朝、仕事の休憩中など、自分が取り入れやすい時間を決めておくと習慣にしやすくなります。
寝る前に布団の上でできる3分ストレッチ
寝る前は、あお向けで両膝を抱えるストレッチや、膝を左右へゆっくり倒す運動がおすすめです。呼吸を長めに吐き、体の力が抜けていく感覚を意識しましょう。就寝直前に息が上がるほど動くのではなく、落ち着いて行える強さにとどめます。
朝の体を目覚めさせる軽いストレッチ
朝は筋肉がこわばっていることもあるため、急に深く伸ばすのは避けましょう。布団の中で手足を伸ばし、足首をゆっくり動かした後、体を起こします。立ち上がってからは、肩回しや軽い背伸びを取り入れると、活動を始める準備になります。
デスクワークの休憩中にできる座ったままストレッチ
椅子に座ったまま両手を前へ伸ばし、背中を丸めると、肩甲骨まわりを伸ばせます。次に胸を軽く張り、肩を後ろへ引きましょう。同じ姿勢が続く場合は、一度に長く行うより、30~60分を目安に立ち上がって姿勢を変えることも大切です。
立ち仕事による足の疲れを軽減するストレッチ
立ち仕事の後は、ふくらはぎや太ももの前後を無理なく伸ばします。壁に手をつき、片足を後ろへ引いてかかとを床へ近づければ、ふくらはぎのストレッチができます。足に強い腫れや熱感がある場合は、無理に伸ばさないでください。
運動後の筋肉をゆっくり伸ばすストレッチ
運動直後は、呼吸と心拍が落ち着いてから、使った筋肉をゆっくり伸ばしましょう。NHSでは、運動後の穏やかなストレッチは、体を徐々に落ち着かせ、柔軟性を保つ方法として紹介されています。ただし、筋肉や関節に鋭い痛みがあるときは中止します。
疲れて何もしたくない日に行う1分ストレッチ
「今日は本当に動きたくない」という日もありますよね。その場合は、椅子に座って肩を5回回し、両手を上へ伸ばして深呼吸するだけでも構いません。完璧を目指さず、できる範囲で体を動かすことが、習慣を途切れさせないポイントです。
引用元:厚生労働省「こころの耳・良質な睡眠をとる」
https://kokoro.mhlw.go.jp/lifestyles/lf02/
引用元:NHS「How to stretch after exercising」
https://www.nhs.uk/live-well/exercise/how-to-stretch-after-exercising/
疲労回復ストレッチの効果を高めるやり方と注意点
疲労回復を目的にストレッチを行う場合、強く伸ばすことよりも、正しい姿勢で無理なく続けることが大切です。「痛いほど効いている」と思われがちですが、痛みを我慢すると筋肉に力が入り、かえって伸ばしにくくなることがあります。心地よい範囲を守り、呼吸を続けながら行いましょう。
反動をつけずゆっくり筋肉を伸ばす
勢いをつけて何度も反動を加えるのではなく、ゆっくり目的の姿勢まで動きます。日本スポーツ協会では、スタティックストレッチングについて、反動をつけずに筋肉を伸ばし、その姿勢を保つ方法と説明しています。
息を止めず長く吐きながら行う
「伸ばすことに集中すると、つい息が止まってしまいます」
そのような方は、伸ばす前に鼻から息を吸い、姿勢を保ちながら口から細く吐いてみましょう。呼吸を止めないことで余計な力を抜きやすくなります。
痛みを我慢せず気持ちよい範囲にとどめる
筋肉が伸びている感覚と、関節の鋭い痛みは同じではありません。ピリッとした痛みやしびれが出た場合は、すぐに元の姿勢へ戻してください。「少し物足りない」と感じる程度から始め、体調に応じて調整しましょう。
1種目20~30秒を目安に無理なく続ける
保持時間にはさまざまな考え方がありますが、初心者は10~20秒程度から始めても構いません。健康・体力づくり事業財団では、1ポーズ10秒を2セット行う方法が紹介されています。時間だけにこだわらず、正しい姿勢を保てる範囲で続けることが重要です。
入浴後など体が温まっている時間を活用する
入浴後は日常生活の流れに組み込みやすく、ストレッチを習慣化する時間として活用できます。ただし、熱いお湯へ長く入った直後や、立ちくらみがあるときは、いったん水分を補給して休みましょう。
寝る直前は激しい運動や強いストレッチを避ける
寝る前は、心拍数が大きく上がる運動や、痛みを伴うほど強いストレッチを控えます。厚生労働省の睡眠ガイドでは、就寝前1時間以内の激しい運動は、睡眠の質を低下させる可能性があると言われています。疲労回復ストレッチは、リラックスできる強さで行いましょう。
引用元:日本スポーツ協会「運動適性テストⅡ要綱」
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/syonendan/unnteki2/unteki2_yoko.pdf
引用元:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
https://www.health-net.or.jp/tairyoku_up/undo/stretch/t02_02_06.html
引用元:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
ストレッチをしても疲労が回復しないときの対処法
「毎日ストレッチをしているのに、疲れが取れません」
このような場合は、ストレッチの種類や回数だけでなく、睡眠や食事、仕事中の姿勢なども確認してみましょう。疲労の原因は一つとは限りません。ストレッチは体を整える方法の一つですが、睡眠不足や体調不良まで解決できるものではないため、無理に続けない判断も必要です。
睡眠時間と睡眠環境を見直す
まずは、起床時に「休めた」と感じられるか振り返ってみましょう。厚生労働省では、成人の睡眠時間は個人差を踏まえつつ、6時間以上を一つの目安として紹介しています。また、寝室の光・音・温度を整え、寝る前にリラックスすることも大切と言われています。
食事・水分補給・入浴を組み合わせる
食事を抜いた日や、水分が不足しているときは、だるさを感じることがあります。三食のバランスを意識し、汗をかいた日は水分も補いましょう。入浴を取り入れる場合は、就寝1~2時間前が睡眠の準備に役立つと言われています。
同じ姿勢や運動不足など疲労の原因を減らす
ストレッチを5分行っても、その後に何時間も同じ姿勢が続けば、再び筋肉がこわばることがあります。仕事中はこまめに姿勢を変え、短時間でも歩く時間をつくりましょう。ストレッチと日常の活動量を組み合わせることがポイントです。
ストレッチを中止した方がよい痛みや症状
ストレッチ中に痛みが強くなる、しびれが広がる、関節が腫れる、力が入りにくい場合は中止してください。NHSでも、ストレッチによって腰の痛みが悪化する場合は中止し、医療従事者へ相談するよう案内されています。
疲れや体の不調が長引くときは医療機関へ相談する
十分に休んでも強い疲労が続く、発熱や息苦しさがある、急に体重が減った、日常生活や仕事に支障が出ている場合は、単なる疲れと決めつけないことが大切です。早めに医療機関へ来院し、必要な検査について相談しましょう。
疲労回復ストレッチに関するよくある質問
「毎日行ってもよいですか?」
痛みや体調不良がなければ、無理のない強さで習慣にしてもよいと言われています。ただし、同じ部位に痛みが残る場合は休みましょう。
「朝と夜のどちらがおすすめですか?」
活動の準備なら朝、リラックスしたい場合は夜など、目的に合わせて選びます。最も大切なのは、自分が無理なく続けられる時間に行うことです。
引用元:厚生労働省「こころの耳・良質な睡眠をとる」
https://kokoro.mhlw.go.jp/lifestyles/lf02/
引用元:厚生労働省「快眠と生活習慣」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
引用元:NHS「Back pain」
https://www.nhs.uk/conditions/back-pain/
#疲労回復ストレッチ
#全身ストレッチ
#寝る前ストレッチ
#肩こり腰痛対策
#疲れが取れない
サイト監修者 柔道整復師 2006年に大阪府枚方市で「さかぐち整骨院」を開院。整骨院勤務時代を含め、長年にわたり腰痛や坐骨神経痛、姿勢の乱れなど、さまざまな身体の不調に向き合ってきました。 柔道整復師としての知識と施術経験をもとに、骨格・筋肉・筋膜・神経・身体の動かし方などを多角的に確認し、記事の内容を監修しています。 読者の皆さまが身体について正しく理解し、安心してセルフケアや専門家への相談を検討できるよう、わかりやすく信頼できる情報発信を心がけています。 【保有資格】 柔道整復師/AJCAカイロプラクター/リラクセンスボディーセラピスト/パーソナルトレーナー/食生活アドバイザー/機能訓練指導員
|








