目次
膝を温めるとどのような効果が期待できる?
「膝が痛むときは、温めたほうがよいのでしょうか?」
腫れや熱感がなく、慢性的なこわばりや冷えが気になる場合には、膝を温めることで痛みがやわらぐこともあると言われています。ただし、温めれば膝の不調そのものが改善するとは限りません。まずは、温める目的を正しく知っておきましょう。
膝まわりの血流を促して筋肉の緊張をやわらげる
「膝ではなく、まわりの筋肉にも関係があるのですか?」
膝を動かすときには、太ももやふくらはぎなど、さまざまな筋肉が働きます。温熱療法には血行を促し、関節まわりの筋肉の緊張をやわらげる作用が期待されていると言われています。冷えた場所で長く過ごしたあとや、動き始めに重さを感じる方は、温めると楽に感じる場合があるでしょう。
関節のこわばりをやわらげて動かしやすくする
「朝起きたとき、膝が曲げにくいのですが、温めてもよいですか?」
腫れや熱感がなければ、入浴や蒸しタオルで温めてから、ゆっくり膝を曲げ伸ばしする方法があります。温熱療法は、血行を促すだけでなく、関節の動く範囲を広げる目的でも取り入れられていると言われています。勢いよく曲げるのではなく、「少し動かしやすくなったかな」と感じる程度から始めましょう。
冷えによって強く感じる痛みや違和感を軽減する
寒い日や冷房の効いた部屋では、膝の痛みを強く感じる方もいます。これは、冷えによって筋肉が緊張し、動きづらさが出ることも関係すると考えられています。
「冷えると痛む」という方は、保温サポーターやレッグウォーマーで冷気を防ぐ方法もあります。ただし、温めてズキズキする、膝が熱く感じるといった場合には、いったん中止してください。
入浴などによって心身をリラックスさせる
湯船につかると、膝だけでなく体全体が温まり、気持ちもほっとしますよね。無理のない温度で入浴することは、筋肉の緊張をやわらげ、心身をリラックスさせる方法の一つと言われています。
一方、熱すぎるお湯や長風呂は体への負担になることもあります。体調に合わせて、気持ちよいと感じる範囲に留めましょう。
膝を温めるだけで痛みの原因が改善するわけではない
ここは大切なポイントです。膝の痛みには、変形性膝関節症、半月板や靱帯の問題、使い過ぎなど、さまざまな原因が考えられます。温めることは痛みやこわばりを緩和するセルフケアの一つであり、原因を特定する方法ではありません。
温めても痛みが続く場合には、温熱ケアだけで様子を見続けず、整形外科で必要な検査を受けることも検討してください。
引用元:日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/topics/2023/files/guideline.pdf
引用元:ひざ関節症クリニック
https://www.knee-joint.net/pain/osteoarthritis-of-the-knee/
膝は温めるべき?冷やすべき?症状別の見分け方
「膝が痛いときは温める」「痛いときは冷やす」と、正反対の情報を見かけて迷う方もいるでしょう。実際には、痛みが始まってからの日数だけでなく、腫れや赤み、熱感、外傷の有無などを確認する必要があります。
慢性的な痛みや朝のこわばりは温めることを検討する
「何カ月も膝が重く、朝は動かしづらいです」
このような慢性的な症状で、膝に目立った腫れや熱感がない場合には、温める方法が選ばれることもあると言われています。入浴やホットパックなどで温めることで、膝まわりの血行が促され、動かしやすく感じられる場合があります。
ただし、慢性的な痛みがある方でも、その日に限って腫れている場合は注意が必要です。いつもの症状と違わないかを確認しましょう。
運動後でも腫れや熱感がなければ温められる場合がある
「ウォーキングのあとに膝が疲れます。お風呂に入っても大丈夫ですか?」
強い痛みや腫れ、熱感がなければ、ぬるめのお湯で体を温める方法もあります。ただし、運動後に膝が急に腫れた、触ると反対側より熱い、ズキズキするといった場合は、温めずに負荷を減らすほうがよいケースもあると言われています。
運動後の膝の状態を左右で比べてみると、変化に気づきやすくなります。
転倒や捻挫など外傷直後は温めない
転倒した、膝をひねった、スポーツ中にぶつけたといった外傷直後は、温めることで腫れや内出血が強くなる可能性があると言われています。まず運動を中止し、膝に負担をかけないようにしましょう。
氷や保冷剤を使う場合も、皮膚へ直接当てないことが大切です。タオルなどで包み、冷やし過ぎないよう注意してください。
赤み・腫れ・熱感がある場合は冷却を検討する
「膝を触ると熱く、少し腫れています」
この状態では炎症が起きている可能性もあるため、すぐに温めるのは避けたほうがよいと言われています。負荷を減らして様子を確認し、必要に応じて短時間の冷却を検討します。
ただし、原因によって対応は変わります。特に、何もしていないのに急に赤く腫れた場合や、発熱を伴う場合は、単なる使い過ぎと決めつけないようにしてください。
判断できない場合は自己判断を続けず医療機関へ相談する
温めると楽になる方もいれば、かえって痛みが強くなる方もいます。「急性期だから冷やす」「慢性期だから温める」と期間だけで決めず、実際の膝の状態を見ることが重要です。
温めたあとに腫れや痛みが増えた場合は中止しましょう。どちらが合うのかわからない、痛みを何度も繰り返すといった場合には、整形外科へ来院して相談してください。
引用元:弘友クリニック
https://koyu-clinic.com/blog/?p=704
引用元:足立慶友整形外科
https://clinic.adachikeiyu.com/8920
自宅でできる膝の正しい温め方
膝を温める方法には、入浴、蒸しタオル、ホットパック、カイロなどがあります。ただし、「熱ければ熱いほどよい」というわけではありません。心地よいと感じる範囲で行い、温めたあとの変化も確認しましょう。
38~40℃程度の湯船に無理のない範囲でつかる
「膝だけでなく、体全体が冷えている気がします」
そのようなときは、38~40℃程度のぬるめのお湯につかる方法があります。入浴によって体が温まると、膝まわりの筋肉の緊張もやわらぎやすいと言われています。熱いお湯に短時間入るよりも、無理のない温度で体調を見ながら入浴しましょう。
立ち上がる際に膝が痛む方は、浴槽内で転倒しないよう、手すりや滑り止めを活用してください。
蒸しタオルやホットパックで膝全体を温める
入浴する時間がない場合は、蒸しタオルや市販のホットパックを使う方法もあります。膝のお皿だけに当てるのではなく、膝の前面や側面、太ももの下部まで包むようにすると、広い範囲を温めやすくなります。
「何分温めればよいですか?」
製品によって温度や使用時間が異なるため、取扱説明書を優先してください。熱さを我慢せず、皮膚が赤くなっていないかも途中で確認しましょう。
カイロは衣類やタオルの上から使用する
カイロを使う場合は、皮膚へ直接貼らず、衣類の上から使用します。膝にサポーターを巻き、その内側へカイロを入れる使い方は、皮膚へ押し付けられやすいため注意が必要です。
同じ場所へ長時間当て続けると、低温やけどにつながることがあると言われています。特に、皮膚感覚が低下している方や高齢の方は、こまめに皮膚の状態を確認してください。
保温サポーターやレッグウォーマーで冷えを防ぐ
「カイロを使うほどではないけれど、冷房で膝が冷えます」
このような場面では、保温サポーターやレッグウォーマーが取り入れやすいでしょう。強く締め付けるものは避け、膝を曲げ伸ばししても苦しくないサイズを選びます。
汗をかいたまま使うと、かえって冷えることもあります。湿った場合は交換し、皮膚のかゆみや赤みが出たら使用を中止してください。
温めたあとに膝をゆっくり曲げ伸ばしする
膝が温まったあとは、椅子に座り、痛みのない範囲でゆっくり曲げ伸ばししてみましょう。筋肉が緩んだ状態で軽く動かすことで、膝の動かしづらさがやわらぐ場合があります。
ただし、深くしゃがむ、強く押し込む、反動をつける動作は避けてください。「気持ちよい」よりも「少し痛い」と感じる場合は、動かす範囲を小さくします。
引用元:ひざ関節症クリニック
https://www.knee-joint.net/pain/osteoarthritis-of-the-knee/
引用元:消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/151118kouhyou_1.pdf
膝を温めるときの注意点とやってはいけないこと
温熱ケアは自宅で取り入れやすい反面、方法を誤ると痛みが強くなったり、低温やけどを起こしたりする可能性があります。「心地よいから長時間続けよう」と考えず、安全を優先しましょう。
腫れや熱感がある膝を長時間温めない
膝が赤い、腫れている、反対側より熱いと感じる場合には、炎症が起きている可能性があります。この状態で長時間温めると、腫れや痛みが強くなることもあると言われています。
まずは運動や長時間の歩行を控え、膝の変化を確認してください。急に大きく腫れた場合には、セルフケアだけで様子を見ないことも大切です。
カイロや温熱器具を肌へ直接当てない
「服の上からでは温かさが足りない」と思っても、カイロや温熱器具を肌へ直接当てるのは避けましょう。低温やけどは、それほど熱くない温度でも、同じ場所へ長く触れ続けることで起こる場合があります。
使用中に眠くなったり、皮膚の感覚が鈍くなったりしたときは、早めに外してください。赤み、ヒリヒリ感、水ぶくれが見られた場合は使用を中止します。
カイロや電気毛布を使用したまま眠らない
寝ている間は熱さに気づきにくく、カイロが体重で皮膚へ押し付けられることもあります。消費者庁では、カイロや電気毛布などによる高齢者の低温やけどについて注意を呼びかけています。
布団を温めたい場合は、就寝前に電気毛布を使用し、眠る際には温度を下げるか電源を切るなど、製品の説明書に従いましょう。
温湿布の上からさらに加熱しない
「温湿布を貼り、その上からカイロを使えばもっと温まりますか?」
併用はおすすめできません。温湿布の種類によっては、温感成分の刺激で皮膚がかぶれる場合があります。また、温湿布は実際に患部を深部まで温めるものではなく、温かく感じる成分が含まれている製品もあると言われています。
入浴前後の使用についても、製品ごとの注意書きを確認してください。
温めて痛みが強くなった場合はすぐに中止する
温め始めてから、ズキズキする、腫れが目立つ、熱感が増すといった変化が出た場合は、すぐに中止しましょう。「好転している途中」と考えて我慢する必要はありません。
膝の痛みは、その日の活動量や関節の状態によっても変わります。昨日は温めて楽になったとしても、今日も同じ対応が適しているとは限らないため、毎回状態を確かめてください。
引用元:消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/151118kouhyou_1.pdf
引用元:増田整形外科
https://www.masuda-seikeigeka.com/faq/
膝を温めても痛みが改善しないときの対処法と来院の目安
「毎日膝を温めているのに、なかなか楽になりません」
そのような場合は、温め方だけでなく、膝へ負担をかけている動作や痛みの原因を見直す必要があります。温熱ケアだけを続けるのではなく、症状に応じて医療機関へ相談することも検討しましょう。
温めるだけでなく膝に負担のかかる生活習慣を見直す
階段の上り下り、深いしゃがみ込み、長時間の正座、重い荷物を持った移動などは、膝への負担が増えやすい動作です。
「温めた直後は楽なのに、夕方になるとまた痛みます」
このような場合は、日中の動き方に原因が隠れているかもしれません。痛みを我慢して歩き続けず、途中で休憩を入れる、手すりを使うなど、無理のない工夫を取り入れましょう。
痛みのない範囲で太ももやふくらはぎを動かす
膝をかばって動かない状態が続くと、太ももなどの筋力が低下し、さらに動きづらくなる場合があります。腫れや強い痛みがなければ、椅子に座って膝を伸ばす、足首をゆっくり動かすなど、負担の少ない運動から始めます。
ただし、運動後に痛みや腫れが増える場合は、回数や動かす範囲が合っていない可能性もあります。痛みを我慢して続けないでください。
数週間続く痛みや徐々に悪化する症状は整形外科へ相談する
膝を温めても痛みが変わらない、歩き始めの痛みが徐々に強くなる、階段がつらくなってきたといった場合は、整形外科への来院を検討しましょう。
膝の痛みには、変形性膝関節症だけでなく、半月板や靱帯の問題なども関係することがあります。触診や画像検査などで状態を確認することが、適切な対応を考える手がかりになります。
強い腫れ・発熱・歩行困難がある場合は早めに来院する
次のような症状がある場合は、温めて様子を見るのではなく、早めに医療機関へ相談してください。
「急に大きく腫れた」「膝が赤く熱を持っている」「発熱がある」「体重をかけられない」「膝が動かせない」といった状態です。外傷後に膝が変形している場合や、歩けないほど痛む場合は、速やかな確認が必要になることもあると言われています。
膝を温めることに関するよくある質問
「膝は毎日温めてもよいですか?」
腫れや熱感がなく、温めたあとに痛みが強くならない場合は、入浴などを日常的に取り入れられることもあります。ただし、毎回膝の状態を確認しましょう。
「寝るときにカイロを使えますか?」
低温やけどの危険があるため、貼ったまま眠るのは避けてください。
「温湿布は膝を温めていますか?」
温湿布には、温かく感じる成分が使われている製品がありますが、ホットパックや入浴と同じ方法ではありません。
「夏でも温めてよいですか?」
冷房による冷えや慢性的なこわばりがあり、腫れや熱感がなければ、無理のない範囲で温める方法もあります。季節ではなく、その日の膝の状態を基準に考えましょう。
引用元:足立慶友整形外科
https://clinic.adachikeiyu.com/9937
引用元:松戸いでた整形外科クリニック
https://matsudo-iida.com/column/knee-pain-hospital
引用元:ひざ関節症クリニック
https://www.knee-joint.net/column/no31/
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サイト監修者 柔道整復師 2006年に大阪府枚方市で「さかぐち整骨院」を開院。整骨院勤務時代を含め、長年にわたり腰痛や坐骨神経痛、姿勢の乱れなど、さまざまな身体の不調に向き合ってきました。 柔道整復師としての知識と施術経験をもとに、骨格・筋肉・筋膜・神経・身体の動かし方などを多角的に確認し、記事の内容を監修しています。 読者の皆さまが身体について正しく理解し、安心してセルフケアや専門家への相談を検討できるよう、わかりやすく信頼できる情報発信を心がけています。 【保有資格】 柔道整復師/AJCAカイロプラクター/リラクセンスボディーセラピスト/パーソナルトレーナー/食生活アドバイザー/機能訓練指導員
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